「パーク・ライフ」
吉田修一(文藝春秋) 〜純文学的な世界〜 表題作が芥川賞受賞作。他に「flowers」を収録。 先に評価を目にしてしまったせいで,邪念が入った読書になって,ちょっと失敗。 数名の選者からは絶賛されている。 端正な純文学的作品。 どこが純文学的かといえば、正統派の文体や表現のし方,世界の見方か。 別に小難しいわけでなく,さらっと読めてしまうが,確かに文章はよく練られている。 適度な距離感があり,べったりとこちらにくっついてこない。 だから,夢中になることもないが気持ちよくもある。 古風とも言える作風だ。 なるほど,こういうのが評価されるわけか。 前回芥川賞の長嶋有「猛スピードで母は」もタイプとしては似ている。 こちらの方がうまいと思うけれど。 しかし,これは恋愛話なのだろうか。 『男と女の「今」をリアルに描いた』、というコピーなのだが,そうかなあ。 主人公の男の「今」を描いた話だとは思うけどね。それも,若者でない人にもわかりやすく。 他の作品も一通り読む気にはなるが,多分まだファンになる事はなさそう。 うまいと思うが、引きつけられる強烈な世界観は感じない。 今のところそんな感じだ。 |