生きた言葉を『喋る』ということ



ワークショップ、二日目。

今日のテーマは「セリフのイメージとカラダのイメージ」。
以前、ここにも書いたのだけれど、言葉を喋る時には、まずカラダが変わって、そこから言葉が出てくるべき……みたいなコトですね。

役者には俗に「顔から入るな」みたいな格言があって、顔を入り口にしてはいけないと言われる。外部からの刺激により、まずは内面の何かが変わって、結果として(出口として)出て来た顔でないと決して生きた表情にはならない。
同じように、ワタシはセリフを入り口にしてはいけないと思う。外部の刺激(相手のセリフや行動)から、内面の変化がまずあって、カラダが変わって、結果的に出てきたモノでないと生きた言葉にならない。

とは言っても、役者さんにとっては、お芝居の入り口が脚本だから……どうしても最初は「与えられたセリフ」を手がかりにしなくちゃならん、という難しさはあるワケですね。このセリフはどんなふうに言ったら面白いか、みたいなところから発想するのは自然なコトだし。でも、そうすると、どうしてもまずはそれありきになってしまって、「セリフ」は結果として現れる、なんてコトをつい忘れてしまう。「大事なのは行間や相手役のセリフ」……なのだけれど、そこから具体的なアクション(セリフや仕種)にするのって、なかなか一筋縄ではいかなかったりするワケですね。役者さんは具体的に何をやるべきなのか。

てなワケで、今日のワークショップは、「カラダを探す」ところから始めてみる。
そのシーンの最初から、まずは役柄のジンブツがどんな状態(カラダ)でスタートしてて、それが劇中のどんな出来事(相手のセリフや、発見、驚きなど)で変化していくのかを、実際に立ちながらたどる。……なにかすごく難しいコトみたいに思えるかもしれないが、これ、コツさえつかんでしまえば、さほど難しいコトじゃない。変化のポイント(台本中のどこで変わるのか、また何をもらってカラダが変わるのか)さえ分かればいい。要はシーンを「流れ」でつかむコトだ。セリフという、点でつかんではいけない。

「はい、そのセリフ聞きながら驚いてるから、そこでざわざわしたカラダに変えよう」
「そこで変わった後は、体内時計を少し早くすること。決して早口になってはいけない。カラダが変わることで、自然に言葉は早くなる」
「相手のセリフの終わり部分でポンと変えるんじゃなくて、セリフ途中の意味を理解した部分で変えること」

なんて、文章で書くと難解な指示に聞こえるかもしれないが、どうしてどうして、参加者の皆さん、飲み込みは早い。カラダを適切に変えてあげると、結果として出てくるセリフがキチンと言葉に……生きた会話になっていくから結構不思議なのだ。


もともと面白いモノを持ってる役者さんだと、技術的な面をうまくサポートしてあげられれば、短時間で驚くほど変わってきて、こっちが驚かされるコトも多いのだった。次週からはいよいよ応用編。



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