ZIPANGU Stage vol.35 "Detective Ghost"

2011’10/26(wed)〜30(sun) 
せんがわ劇場 


ZIPANGU Stage vol.36

チェイサー
CHASER


 

  カウンターに男が一人いる
  例えば、バーボンのストレートで
  物憂げにグラスなど眺めているとしよう

  そこに女が現れる
  薄暗い店内を見渡し、男と目が合う
  20年の歳月が二人の間に漂い……

  女は無言で男の隣に座り
  ひとつだけ尋ねる
  「どこ行ってた?」
  男はチェイサーの水をあおり
  ひとつだけ嘘をつく
  「ちょっと煙草を買いにね」

  『幸運な男』と名付けられた酒場で……
  シアワセを求めて集う人々の
  バカバカしくもせつない
  一夜の物語、なのである



CAST

新田正継
滝沢久美
佐土原正紀
村上健司
宮本ゆるみ
 ・
剱持美季
よっし
鈴木君子
一晴


STAFF

作・演出
今石千秋

演出補

井上史浩

照明
猿谷香織
 /(有)SPC

音響
田島誠治
 / SoundGimmick

舞台美術
鎌田朋子

舞台監督
稲毛健一郎

宣伝美術/チラシ画
松下由紀

当日運営
三村里奈
 /MR.co

制作
ZIPANGU Stage制作部










[ストーリー]

店主に不運ある時、客の誰かに幸運が訪れるという噂のバー、『ラッキーガイ』。
今日も懲りもせず、ママさんと喧嘩中らしいマスターに呆れ顔の常連客たちなのだが……


そこに、ふらりと現れたさえないオジサン客。
どうやらこの人、この歳になってもうすぐ結婚するらしいのだけれど、事情がなにやらワケありの様子。


結婚相手の女性は、オジさんの幼なじみで、ハタチの時に、「お互い40歳になっても独身だったら結婚しよう」と誓いあった仲だった。それが最近ふとしたことで再会し、お互い独身の身の上故に、改めて結婚の約束をしたと言うのだ。
なんだか運命的なものを感じてしまう面々は、オジさんの結婚の助太刀をしようとするのだが……


ところが、現れた相手の女性は、なぜか結婚の約束の記憶を失ってしまっていた!
どうにか二人を結びつけようと悪戦苦闘を始める面々なのだが、そこに、二人にとっての空白の20年が復讐するかの出来事が……



果たして二人は結ばれるのか、
はたまた、幸運は誰に訪れるのか……




 97年『酒場でダバダ』、2004年『ラッキー・ガイ』に続くBAR・ラッキーガイシリーズの第3弾となります。(前2作品は08年に劇団15周年記念公演として同時再演されました)同じバーを舞台としたシリーズものとはいえ、それぞれが完全に独立したお話です。ただ、マスターとママさんの関係性だけが実時間の流れの中で変化していくという隠し味を持ってもいます。

 そして本作、劇団としては珍しい、レンアイが真ん中に置かれた物語でした。大人のラブロマンス……と言えば聞こえはいいのですが、ぶっちゃけ、そのへんにいそうなオジさんとオバさんのロマンスなのです。佐土原正紀演じるオジさんのかわいくもおかしな熱演は、たくさんの笑いを生んでくれました。また、今年「震災婚」という言葉が生まれてきたように、実は世相を睨んだお話でもありました。

 鎌田朋子さんの素敵な美術と、苦労して集めた百五十本を超えるボトルがあいまって、過去で1、2を争うほどに舞台セットの評判が良い公演でした。2月のせんがわ劇場演劇コンクールでの『FC東京賞』受賞をうけての、初のせんがわ劇場公演でしたが、もしかしたら仙川の街とも長いお付き合いになる、かもしれません。




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